『映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台ファンド』の舞台裏(前編)
事業投資型クラウドファンディングで、挑戦する人を、支える仕組みをつくりたい。
――『映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台ファンド』の舞台裏(前編) ――

はじめに
2025年10月7日、「映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台ファンド」を募集開始。
わずか1日半で4.8億円。
日本の事業投資型クラウドファンディング史上、最高調達額(※)を記録しました。
けれどもこの“奇跡的なスピード”の裏には、
人間的で、泥くさい対話と情熱の積み重ねがありました。
「挑戦する人を支える仕組みをつくりたい」
――その想いを胸に、この挑戦の裏側をセキュリテの二人が語る、
「映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台ファンド」のアナザーストーリーを前編後編に分けてお届けします。
登場するのは、
ミュージックセキュリティーズ株式会社(以下「当社」)代表取締役社長の 中園 浩輝(なかぞの こうき)、
そして本ファンドの担当者で当社取締役の 渡部 泰地(わたなべ たいち)。

(写真左:西野氏、中央:中園、左:渡部)
本記事では、「映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台ファンド」をきっかけに「事業投資型クラウドファンディング」や当社のことを知っていただいた方に向けて、当社の目線から見たファンド組成の裏側をご紹介します。
<前編>では、セキュリテと「映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台」の出会いからファンド設計までをご紹介。当社のことをより深く知っていただくきっかけになれば幸いです。
※ 当社調べ。事業投資型クラウドファンディングとは、一般の個人や法人からインターネットを通じて直接事業への投資を募る仕組みです。投資家は、投資した対象の事業の成果に応じて、分配金を受け取ります。貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)や不動産クラウドファンディングは含みません。
※ セキュリテで募集中のファンド一覧はこちらからご覧いただけます。
1.出会いと構想 ─ なぜ「プペル」と「セキュリテ」が出会ったのか
最初の出会いは、偶然のクリックから始まりました。
当社の営業メンバーがインターネットで検索していたとき、
CHIMNEY TOWNの関係者が過去に発信した記事を見つけたのです。
「『匿名組合とエンタメ』そんなキーワードで調べていたら、たまたま出てきた記事でした。
数年前の記事でしたし、ダメもとではありましたが、ご連絡したんです。」(渡部)
「セキュリテの仕組みがお役に立てるかもしれない」と思いながら、待つこと数日、ご返信をいただきました。
オンラインミーティングが設定され、株式会社CHIMNEY TOWNの代表取締役、キングコング西野亮廣氏本人とも対面します。
「初めてお会いしたとき、西野さんはすでに“この仕組みでたくさんの方が映画製作に参加できる”という意思をお持ちでしたね。
事業投資型クラウドファンディングの本質をすでに把握されているように思いました。
その上で『自身がどういう発信が可能なのか』『どこまで自由に伝えられるか』という質問を、真剣に投げかけて頂きました。」(渡部)
当社代表の中園は、その日の空気をはっきりと覚えていました。
「西野さんの言葉には、“みんなで一つの作品を創り上げたい”という明確なビジョンがありました。
それは私たちが大切にしてきた“共感でお金を動かす”という理念と重なっていました。
出会った瞬間、同じ価値観を持たれていると感じましたね。」(中園)
実は中園は「プロジェクトの代表である西野さんの考えを理解しておきたい」と、事前に西野氏のオンラインサロンにも加入していました。
「オンラインサロンの投稿を読んで、より確信しました。
『事業投資型クラウドファンディングが皆の選択肢になれば、多くの事業者(挑戦者)の背中を具体的に押すことができるということもあって、今回の『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』×事業投資型クラウドファンディングは西野の肝いり案件でございます。』 (西野亮廣氏の投稿より)
西野さんの根底には、“挑戦する人が資金のせいで諦めない社会をつくりたい”という強い信念がある。
これは単なる映画の話ではなく、“日本の挑戦文化を再設計する”という取り組みなのです。」(中園)
こうして、何回かのミーティングを経て正式に
「映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台ファンド」の実現に向けて動き出しました。

2.ファンド設計の裏側 ─ 模索と挑戦
映画を“投資対象”にする――。
それは、セキュリテでは前例がなく、リスクも多い挑戦でした。
「これまでも映画ファンドの相談は何度もありました。
でも、制作が途中で止まってしまうリスクを払拭できず、実現に至らなかった。
今回は、“映画が必ず完成する前提”があった。それが決定的な違いでした。
資金調達の面もありますが、製作に関わっていただく仕組みとして、事業投資型クラウドファンディングを活用されたイメージです」(渡部)
ファンドの設計段階で特に意識したのは、
「投資家へのリターン」と「クリエイターの思い」をどう両立させるかです。
「西野さんは“絶対に損をさせたくない”という強い責任感を持っていました。
万が一映画そのものがうまくいかなかったとしても、10年間かけて映画の関連事業でリカバーする構想を話されていて。
それを聞いたとき、多くの人を巻き込むクリエイターとしての覚悟を感じました。」(渡部)
そして、このファンドでは、10年間の会計期間が設定されました。
この“10年間”という設定には、深い意味があります。
「うまくいったら1年でリクープ(出資元本以上の分配)ができる。でも、それで終わらせない。
この映画と一緒に、長く応援していける関係を作るための10年間なんです。」(中園)
そうなのです、実は、このファンドは1年間で償還させることも可能な事業計画でした。
事業者や運営側の経済合理性だけを考えると、会計期間を短くするのが普通です。
会計期間が長くなれば、その分、毎年の事業報告や監査や分配などの負担が増えるからです。
そして、リターンの設定にも明確な哲学がありました。
「当初、西野さんは“この映画におけるCHIMNEY TOWNの利益を支援者の皆様に全部分配しちゃいましょう”と仰っていたんです(笑)。
ただ、西野さんが本当に目指していたのは、単に利益をチラつかせて協力者を募ることではなく、“想いの輪”を広げること。すなわち、“ともに挑戦の道を歩んでくださる仲間を募ること”でした。
だから、“推し活の延長線上にある投資”というかたちになりました。」(中園)
投資家への分配は、公開初年度の興行・配信・二次収益の合算売上高だけではなく、
10年間に渡るIP(知的財産)からの収入も前提とすることになりました。
こうして、セキュリテ初の映画ファンドは、異例の10年間の長期ファンドとして作られました。
「映画ファンドは当社としても初めての組成でしたが、異例のスピードで進みました。
でも、それは西野さんをはじめとしたCHIMNEY TOWNのみなさまの“強い意思”と“誠実さ”があったから。
私たちは、ただその熱量を受け取り、形にするだけでした。」(渡部)
「理念を共有する人が集まるファンドにする」
その想いが、設計のすべてに息づき、「みんなで創る」を合言葉にした
「映画 えんとつ町のプペル 約束の時計台ファンド」が生まれました。
#挑戦を応援する投資 “共感でお金を動かす”セキュリテの挑戦
※ セキュリテで募集中のファンド一覧はこちらからご覧いただけます。
(後編に続きます)
<後編の内容>
3.公開と反響 ─ “挑戦する人を応援する”空気の広がり
4.その先に見える未来 ─ 新しい挑戦者のため
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