【第三話】ついに完成!東海大学オリジナルアイス誕生の舞台裏
2025年6月11日
東海大学発 未来の健康を育む乳酸菌ファンド

こんにちは。私たちのプロジェクトに興味を持ってくださり、ありがとうございます。今回は、私たちのサークルがどのようにしてオリジナルアイスを完成させたのか、その裏側にあった苦労や工夫、そしてたくさんの「はじめて」をお伝えしていきます。

アイス完成までの道のり──製造先との出会い
私たちがオリジナルアイスを作ろうと決意したのは、まだサークルができて間もない頃でした。もちろん、アイスの製造などしたこともなければ、どこにお願いしたら良いかも分かりません。そこで、まずは全国のアイスクリーム工房やスイーツ製造業者に片っ端からメールを送り、電話をかけて、可能性を探るところから始まりました。
いくつかの業者さんから丁寧な返信をいただいた中で、特にご縁があったのが、熊本県菊池市にあるアイスクリーム専門店でした。問い合わせの際、「一度打ち合わせをしてみませんか?」とお声がけいただき、すぐに現地での打ち合わせが決定。初めての試みで不安もありましたが、私たちは希望を胸に向かいました。
立ちはだかった「ロット」の壁
現地での打ち合わせは実りあるものでしたが、いくつもの課題にも直面しました。そのひとつが「ロット」という言葉。正直に言えば、当時の私はその意味すら知りませんでした。
製造業界では、「ロット」とは一度に製造できる最小単位を意味します。つまり、たとえ100個だけ欲しくても、最低500個からしか作れない、というような事情があるのです。これは私たちのような小さな団体にとっては大問題でした。
500個ものアイスを一気に保管できる場所は当然なく、食べきることもできません。かといって製造側に無理も言えず、この問題をどう解決するかが大きなハードルになりました。
保管場所の確保──キャンパス内での奮闘
次なる課題は、アイスの保管場所です。当時の私たちは、まだ大学から正式に認定されていないサークルで、当然部室も冷凍庫も持っていませんでした。アイスの保管には冷凍設備が不可欠です。どうにかしなければ、プロジェクトはこの段階で頓挫してしまうかもしれません。
そこで私たちは大学に相談しに行きました。当時、コロナ禍の影響で食堂が一時的に使用されていなかったため、「一部のスペースを使わせてもらえないか」とお願いしました。大学側は私たちの熱意を理解してくださり、特別に許可をいただくことができました。
この対応がなければ、私たちのアイスは日の目を見ることはなかったでしょう。本当に、大学の理解と支援には感謝しかありません。
限られた試作費用──一発勝負の緊張
そして、もうひとつの大きな課題が「資金」でした。サークル創設初年度で、まだ活動資金はほとんどありません。アイスの試作には数万円の費用がかかります。ですが、予算の関係でそのチャンスは一度きり。「一発で成功させるしかない」というプレッシャーの中で、試作に臨むことになりました。
そのため、試作前の準備にはとにかく時間と手間をかけました。味の方向性、使う素材、見た目の印象、そして「誰に届けたいのか」──あらゆる視点から検討し、完成品のイメージを具体的に固めていきました。
商品コンセプトの決定──「全国キャンパスを巡るアイス」
ここで、商品開発にあたって私たちが最も大切にしたのが「コンセプト」でした。せっかく作るなら、東海大学らしい意味を込めたいと考えました。
東海大学は、全国にキャンパスを持っている珍しい大学です。この特色を生かし、「全国のキャンパスを巡る旅」をテーマにしたアイスをシリーズで作ることにしました。第一弾として選んだのは、北海道にある札幌キャンパス。北海道といえば酪農が盛んな土地。そこから着想を得て、「チーズアイス」を開発することにしました。
チーズ×ベリーソース──味の試行錯誤
チーズアイスというベースはすぐに決まりましたが、試食を重ねる中で「もうひと味足りない」と感じました。そこでアイスに合うソースをトッピングしようと、いくつかのベリーソースを試作することにしました。
候補に上がったのは、ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、そしてクランベリー。メンバー全員で試食会を行い、率直に意見を出し合いました。「チーズの主張が控えめだから、ソースのインパクトがもっと欲しいよね」「甘すぎず、酸味があるものがいいかも」といった声が上がり、最終的にクランベリーソースが最もバランスよくマッチするという結論に至りました。
こうして完成したのが、「札幌キャンパスをイメージしたクランベリーソース入チーズアイス」です。


仲間とともに作った“初めての味”
初めてのアイス開発。資金も人手も限られる中で、仲間とアイデアを出し合い、困難を一つずつ乗り越えて完成させたアイスには、私たちの思いがたくさん詰まっています。
この経験を通じて、「モノを作る」ということの大変さと喜びを実感しました。最初は何も知らなかった私たちが、自ら動き、学び、周囲に助けられながら、形あるものを生み出すことができたのです。
次回に向けて──定番アイスと販売への挑戦
アイスは完成しましたが、ここからが本番です。次回は、定番商品としてのアイスの開発や、販売に向けた準備、広報活動などについてお話ししていきます。
このアイスプロジェクトは、ただの学生の趣味ではありません。地域とのつながり、大学の特色、そして仲間の熱意が融合した、かけがえのない挑戦です。引き続き、応援をどうぞよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。