【PART2】意外と知られていない?医薬品と健康素材の関係 〜OTC医薬品・頭痛編〜
こんにちは!皆様体調はいかがですか?
気温も上がり、クーラーもかなりきいている場所も増えてきましたね。
朝晩の気温の差だったり、屋外と室内の気温の差で体調を崩されている方も少なくないのではないでしょうか。
そうすると風邪ぽっいな〜、頭がズキズキするな〜、お腹が冷えて痛くなったなど
急な体調不良に襲われるなんてこともあると思います。
そういった際に、身近なドラッグストアなどでOTC医薬品(市販薬)を購入されることもあるのではないでしょうか?
今回は、OTC医薬品と相互作用を起こしてしまう素材・成分についてナチュラルメディシン・データベースの情報を元にお話しします。
■ そもそも、OTC医薬品って?
OTC(Over The Counter)医薬品とは、病院で処方を受けなくても、薬局やドラッグストアで購入できるお薬のことです。たとえば、以下のようなものが代表的です:
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解熱・鎮痛薬(ロキソプロフェン、イブ、アセトアミノフェンなど)
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総合感冒薬(咳、鼻水、のどの痛みなど)
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アレルギー用薬(花粉症や鼻炎、目のかゆみを抑えるもの)
これらは軽い体調不良の際に、自宅でケアするための身近な手段として多くの人に使われています。
■ 頭痛や生理痛──「身近な痛み」に手軽に対処する時代
頭痛、生理痛、肩こり、歯の痛み──
こうした「日常的な痛み」は、多くの人にとって避けがたい悩みです。
特に頭痛は日本人の多くが経験し、働きながら、家事をしながら、それでも我慢しがちです。
そうした背景から、市販の鎮痛薬、いわゆるOTC医薬品の中でも、「痛み止め」は非常に高いニーズがあります。
中でも「すぐ効く」「胃にやさしい」「自宅ですぐ使える」といった特長をもつ商品が、ECサイトでも上位にランクインしています。
■ 鎮痛薬に含まれる「イブプロフェン」の特性
その中核をなすのが、イブプロフェンという成分です。
これは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類され、炎症や発熱、痛みの原因であるプロスタグランジンという物質の産生を抑えることで症状を和らげます。
また、イブプロフェンは炎症を引き起こす「COX-2酵素」に比較的選択的に作用する性質もあるため、他のNSAIDsが持っている胃を荒らす副作用が少なく「胃にやさしい痛み止め」としても評価されています。
皆さんの普段使っている痛み止めなどにも含有されていたり、なんとなく聞いたことがあったりするのではないでしょうか。
参考:
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MSDマニュアル「NSAIDsの薬理作用」:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロ/薬剤療法/鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬-nsaids
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国立循環器病研究センター「薬剤情報」: https://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/drug/nsaid.html
■ 実は注意が必要!? 食品や素材成分とのとの併用
痛みや炎症などを抑える「イブプロフェン」と併用すると良くないものとして、皆さんもご存知の方が多いのではと思いますが、ワイン・ビールなどのアルコール類があります。
その他にも、実は!!意外な健康食品も併用すると良くないものがあります。
それは...「イチョウ」です。
※イチョウ(Ginkgo biloba)は、中国や日本、韓国などが原産の植物で、昔から漢方などに使われてきました。
イチョウには抗酸化作用や血流改善という観点から、最近では、大手のメーカーでも「イチョウ葉エキス」成分の入ったサプリメントを機能性表示食品「加齢によって低下する脳の血流を改善し認知機能の一部である記憶力を維持する」や「眼の黄斑色素量を増加、維持する働きがあり、コントラスト感度(色の濃淡を識別し、ぼやけ、かすみを緩和する視機能)をサポートし、ブルーライトなどの光ストレスを軽減する」などの機能性があるとして提供をしています。
◼︎イチョウの有効性とは
イチョウは伝統的な中国医学での使用の歴史が長く、皮膚のコンディショニング剤や抗酸化剤として化粧品などにも使用されています。
そのイチョウの有効性について(Possibly Effective)
・不安
・めまい
・認知症
・難聴
・月経前症候群(PMS)
などに対しての有効可能性についてのエビデンスがナチュラルメディシン・データベースでは記載されています。
しかし、イブプロフェンとの併用には注意が必要とされています。
評価項目 |
内容 |
相互作用の内容 |
副作用のリスクが高まる可能性あり |
レベル |
高 |
発生可能性 |
Possible |
根拠レベル |
D |
イチョウには血液を固まりにくくする「抗血小板作用」があるとされており、イブプロフェンと併用することで、出血のリスクが高まる可能性があります。
実際に、長期にイチョウを摂取していた高齢男性が、イブプロフェンを併用した結果、脳内出血を起こしたとの報告もあります。
出典:Natural Medicines Database(NMDB)
※レベル:医薬品との相互作用のレベルを表しています。
(高|この医薬品と併用してはいけません、中|この医薬品とは慎重に併用するか併用しないでください、低|この医薬品との併用には注意が必要です)
※発生可能性:発生可能性レベルを表しています。
(Likely|厳密に管理されたヒト試験において、この相互作用の存在が明確に示されています、Probable|厳密に管理された試験での報告はないが、ヒト試験または動物試験で相互作用が示されており、さらに複数の症例報告が存在します、Possible|相互作用は動物実験または試験管内(in vitro)研究で確認されているか、ヒトにおける症例報告や矛盾する臨床研究で報告されています、Unlikely|相互作用は動物実験またはin vitro研究で示されているものの、ヒトでは発生しないことが確認されています。)
※根拠レベル:エビデンスレベルの定義を表しています。
(A|高品質のランダム化比較試験(RCT)/高品質のメタアナリシス(定量的システマティックレビュー)、B|非ランダム化の臨床試験/非定量的なシステマティックレビュー/質の低いRCT/臨床コホート研究/症例対照研究/歴史的対照研究/疫学研究、C|専門家間のコンセンサス(合意)/専門家の意見、D|逸話的な報告(アネクドータルエビデンス)/試験管内(in vitro)または動物実験薬理学に基づく理論的根拠)
※上記情報は「ナチュラルメディシン・データベース」(弊社発行)に帰属します。情報の二次利用などは固く禁じます。※食品、健康食品・サプリメントを利用して身体の不調を感じたらすぐに使用を中断し、医療機関で診てもらいましょう。
◼︎最後に
サプリメントや健康食品は「自然由来だから安心」と思われがちですが、薬と一緒に使うとリスクが生じることもあります。薬を飲んでいる方や、定期的にサプリを使っている方は、医師や薬剤師に相談することがとても大切です。
また、全然関係のない目的を持つ医薬品と健康食品が相互作用をおこす例をご紹介いたしました。
決して自己判断をせずかかりつけの先生にご相談ください。
私たちNMDB(ナチュラルメディシン・データベース)は、こうした相互作用リスクを未然に防ぎ、正しい情報を届けることを使命としています。今後も、安全なセルフメディケーション環境の実現に向けて、引き続きご支援をお願い申し上げます。